注1'. 富国強兵

幕末から日本の有識者たちは、ヨーロッパの列強諸国が「日本を植民地化する」と言う危機感を抱いていました。既に、隣国の中国大陸では、清国が英国、ポルトガル、フランス、ドイツ、ロシアなどの先進諸国からの外交圧力に屈して、香港やマカオなどの領地を租借と言う形式で占領されていたからです。この西欧諸国による日本の植民地化を防ぐためには、日本の国力を増強させる必要があると、多くの知識人は考えていました。そのためには、江戸時代の藩による地方分権制を廃止し、中央集権的な近代国家を設立しなければならないと考えられていました。その中央集権化の目的は、国家としての経済効率を向上させ、産業化(工業化)を推進するとともに、近代的な軍隊を整備して、ヨーロッパの列強諸国との軍事衝突にも備える必要があると考えたからです。この目的を達成するためのスローガンとして、明治新政府が表明したのが、「富国強兵」策でした。

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